たけすえ耳鼻科クリニック

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白石先生ブログ

キリン

聞こえが悪くなると認知症になりやすい?

白石先生ブログ 2020年10月15日


聞こえが悪くなると認知症になりやすい?
最近、テレビなどで難聴と認知症との関係がとりあげられています。
では、 難聴になると本当に認知症になりやすいのでしょうか?
その1)難聴の程度が悪くなるほど、認知症になるリスクが高くなる!
歳をとると誰でも聞こえが悪くなってきます。これを「加齢性難聴」といいます。その原因の多くは、音を電気信号に変換する「内耳(ないじ)」
というところにある「カタツムリ管(蝸牛)」(図1と図2)や、
それを脳に伝えるきこえの神経の障害(図3)です。

                                                        図1 耳の断面図
 
耳の構􏰀􏰀造は大きく、外耳、中耳、内耳に分かれます。加齢性難聴は、主に内耳 で生じます。

                                                          図2 上からみた耳の構􏰀
 
音のエネルギーは、内耳のかたつむり管(蝸牛)で電気信号に変換されて脳へ伝わります。

                                               図3 かたつむり管(蝸牛)の断面図
 
歳をとると、蝸牛の真ん中のところにある音を感じるセンサーの有毛細胞(ゆうもうさいぼう)や、きこえの神経(蝸牛神経)が障害されてきます。
一般的に、難聴の程度の区分は、下のように分けられています。
 
軽度難聴)小さな声やうるさいところでの会話の聞き間違いや、
              聞き取りが難しい。
 
中等度難聴)普通の大きさの声の会話の聞き間違いがあり、
                聞き取りが難しい。
 
高度難聴)非常に大きい声か、
              補聴器を用いないと会話が聞こえない。
 
最近、発表された論文(補足的説明)では、図4のように難聴の程度が悪くなってくると、認証になるリスクが高くなっていることが報告されました。
それによれば、・軽度難聴は 2 倍、中等度難聴は 3 倍、高度難聴は 5 倍になっています。
                                                                                            図4 難聴の程度と認知症になるリスク

 
難聴の程度が悪くなると、認知症になるリスクが高くなっているのがわかります。(文献の図を改変)
また、厚生労働省は、2015 年に認知症発症の危険因子として、加齢、遺伝性のもの、糖尿病、喫煙などとともに、「難聴」を挙げています(認知症施策推進 総合戦略「新オレンジプラン」)。
つまり、「聞こえが悪くなるほどと認知症になるリスクが高くなる」と言えます。 では、どうして難聴になると、認知症になるリスクが高くなるのでしょうか。
 
次回は、その原因について説明します。
 
補足的説明)アメリカのフランク・リン博士ら(文献)は、2011 年に 1990-1994 年の間に 調査に参加した 639 名を 2008 年 3 月まで追跡調査した結果、58 名が認知症と診断されま した。そして、難聴の程度と認知症になるリスクについては、難聴の程度が悪化すると、 急􏰲に認知症になるリスクが増大すると報告しました。
 
文献)Lin FR, Metter EJ, O’Brien RJ, et al.: Hearing loss and incident dementia. Archives of Neurology 68: 214–220, 2011.
 
 
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                                                                                                           (2020年10月17日作成)


聞こえが悪くなると認知症になりやすい?
最近、テレビなどで難聴と認知症との関係がとりあげられています。
では、 難聴になると本当に認知症になりやすいのでしょうか?
 
その1)難聴の程度が悪くなるほど、認知症になるリスクが高くなる!
歳をとると誰でも聞こえが悪くなってきます。
これを「加齢性難聴」といい ます。その原因の多くは、音を電気信号に変換する「内耳(ないじ)」というと ころにある「カタツムリ管(蝸牛)」(図 1 と図2)や、
それを脳に伝えるきこ えの神経の障害(図3)です。

                          図1 耳の断面図
 
耳の構􏰀造は大きく、外耳、中耳、内耳に分かれます。加齢性難聴は、主に内耳 で生じます。

                        図2 上からみた耳の構
音のエネルギーは、内耳のかたつむり管(蝸牛)で電気信号に変換されて脳へ 伝わります。

                図3 かたつむり管(蝸牛)の断面図
 
歳をとると、蝸牛の真ん中のところにある音を感じるセンサーの有毛細胞(ゆうもうさいぼう)や、きこえの神経(蝸牛神経)が障害されてきます。
一般的に、難聴の程度の区分は、下のように分けられています。
軽度難聴)小さな声やうるさいところでの会話の聞き間違いや、聞き取りが難しい。
中等度難聴)普通の大きさの声の会話の聞き間違いがあり、聞き取りが難しい。
高度難聴)非常に大きい声か、補聴器を用いないと会話が聞こえない。
最近、発表された論文(補足的説明)では、図4のように難聴の程度が悪くなってくると、認証になるリスクが高くなっていることが報告されました。それによれば、・軽度難聴は 2 倍、中等度難聴は 3 倍、高度難聴は 5 倍になって います。


                図4 難聴の程度と認知症になるリスク
 
難聴の程度が悪くなると、認知症になるリスクが高くなっているのがわかります。(文献の図を改変)
また、厚生労働省は、2015 年に認知症発症の危険因子として、加齢、遺伝性のもの、糖尿病、喫煙などとともに、「難聴」を挙げています(認知症施策推進 総合戦略「新オレンジプラン」)。
つまり、「聞こえが悪くなるほどと認知症になるリスクが高くなる」と言 えます。では、どうして難聴になると、認知症になるリスクが高くなるのでしょうか。
 
次回は、その原因について説明します。
 
補足的説明)アメリカのフランク・リン博士ら(文献)は、2011 年に 1990-1994 年の間に 調査に参加した 639 名を 2008 年 3 月まで追跡調査した結果、58 名が認知症と診断されま した。そして、難聴の程度と認知症になるリスクについては、難聴の程度が悪化すると、 急􏰲に認知症になるリスクが増大すると報告しました。
 
文献)Lin FR, Metter EJ, O’Brien RJ, et al.: Hearing loss and incident dementia. Archives of Neurology 68: 214–220, 2011.
 

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